ひるねの時間

「関西弁」 96/10/20      卜部 知典

先日テレビのドラマを見ていてふと気が付いた。
最近のテレビ番組には、ほとんど必ずと言っていいほど関西弁を使う人が使われている。ドラマにしろ、バラエティーにしろ、アニメにしろ果ては報道番組にまで使われている。以前はアイドルなどは、イメージが悪いという事で絶対に使わなかった関西弁を、今はその人の個性として使っている。
今でこそ慣れてしまった私達には、あたりまえに感じられるが、多分日本語を覚え立ての外国人にとっては異様だろう。全くアクセントが違い多くの単語までもが違う関西弁と標準語、それぞれをお互いが何の戸惑いも無く話し理解しあっているのだから実に不思議だ。

ところで標準語は明治の始めに”西欧諸国の文化水準に追い付く為にも全国で統一された言葉が必要”と言う事になり、当時新しい都だった東京、つまり江戸の言葉に維新志士を多く出した長州藩他の言葉を混ぜて政府が勝手に造った物だった。それまでは千年以上にもわたり京都の言葉がもっとも正しい言葉とされ、京都の流行言葉が周辺に広がる形で発展してきた。これを言語周圏論と言うそうだが、そのため日本の方言は京都を中心に東西へ同じ距離に行った所に大体同じような単語が残っているらしい。
例えば九州南部と東北、九州北部と関東、中国地方と東海地方、といった感じで発音に多少の違いは有るものの似た単語が多く残っているそうだ。

言葉は、生活様式や時代の変化に伴い新たにうまれ消えてゆく。そしてその過程においては、より使い易い話し易い形へと変化してゆく、そういった意味では明治になるまでは、関西の言葉は一番話し易いある意味では砕けた、ある意味では便利な言葉だったはずである。だから、その名残で今でも他の方言に比べて全国区になり易い言葉だったのかもしれない。

そう言えば、最近関西人でもないのに、「ちゃうちゃう」、だとか「そんな、あほな」などという人達をよく見かける。10代の人達には確実に関西弁が浸透していっている。
そのうち関西弁が標準語に取って代わる日が来るかもしれない。(そんな、あほな!)


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