ひるねの時間

「なめくじ」 97/7/3      みなみ てつや

ナメクジ?不思議な奴だ。
塩をかけると溶けるし、足も無いのにヌメーッと歩くし、だいたい形もはっきりしていないし。
それにオスとメスの区別もはっきりは無いらしい。2匹が出会った時オスっぽいほうがオスになりメスっぽいほうがメスになるそうだ。そんなのでよく卵が産めるものだ。ナメクジは恋などしないのだろうか?

つくづくナメクジに生まれてこなくてよかったと思う。

せっかく男っぽく生まれて来て周りの女っぽい奴等に、モテていても、いきなりもっと男っぽい奴が現れたら卵を産むなんて難解な奴等だ。
しかし、最も不思議なのはその名前だ。ナ・メ・ク・ジ?語源はいったい何なんだろうか?

例えばゴキブリは平安時代、夜中にゴソゴソと食器つまり御器にかぶりついているのでゴキカブリと呼ばれていたものが、短くなってゴキブリと呼ばれるようになったらしい。
だけど、ナメクジの場合はよく解らない。
その姿と、ナメーっと歩く様からナメは解るような気もするが、クジがよく解らない。しかし日本語の単語の形成パターンから言うとナメクジの場合、ナメが動詞か形容詞でクジが名詞という感じがする。ナメであるクジという事だ。その成り立ちはゴキをブリするものつまり名詞+動詞であるゴキブリとは逆という事だ。
では、クジとはなんだろうか、クジといって思い付くのはおみくじぐらいだ。でもオミクジとナメクジは語感こそ似ているが姿かたちは全然違う。では何だろう?

ナメクジはその昔ナメクジラもしくはナメクジリと言ったそうだ。ここにヒントが有りそうだ。そこでクジリを辞書で調べてみた。クジリとはつまり穴を開けるという意味のくじるを連用形で名詞化したもの、くじるもの、くじること、という意味なんだそうだ。つまりもしこれが正解だとすると、ナメーっとしたくじるものと言う意味になる。
そう言えばナメクジがキャベツなどの葉野菜の表面をヌメーっと歩きながら、穴を開けているのを見た事が有る。そう思うとしっくり来る。
ところで、ナメクジはあれで貝の仲間なんだそうだ。

結論、ナメクジはやっぱり変な生き物だ。

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