「愛国心」 97/9/27
「愛国心」という言葉を聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか?
戦争、出征、玉砕、特攻隊。こんな言葉を連想する人が、結構多いと思う。愛国心などと言う言葉を口にすると戦争賛美者かと思われがちだ。
確かに日本国民は戦時中この言葉に辛い思いをさせられて来た。この言葉を用いて命を捨てるように教育されていた。だから戦後みんなこの言葉を敬遠するようになったのは理解できる。
しかし本当の愛国心とはそんなものではない。「進め火の玉一億玉砕」といわれても、国民総てが死んでしまっては何の意味も無い。愛国心ではなく、事実上人質であった家族や友人の為に、または”従うか死ぬか”しかないという究極の選択の中で
止むに止まれず戦地へ赴いた人が多かったのだろうと思う。しかしそれは愛国心という言葉にすりかえられ、美化され、逆らう余地の無い大義名分とされたしまっただけのことなのだ。
例えばバレーボールやサッカーのワールドカップなどで日本のチームを応援してしまう。そういった心が本来の愛国心なのだ。別にそのチームに親戚や友人がいる訳ではないのに日本の国民であるというだけでその代表者であるチームを応援するのは、まさに愛国心のなせる業である。
アメリカのメジャーリーグで活躍している日本人選手が恥ずかしい振舞いをすれば残念に思い、よい成績を残せば誇りに思う。海外へ出ると日の丸を愛しく思い、外国の人に日本のいいところを何か一つでも理解してもらえば嬉しいと思うのは、みんな基本的には愛国心が有るからだ。
欧米の国の人々はその多くが自分は自分の祖国たるその国に生まれ育った事を誇りと思い、国家の威信や名誉、そしてそれらの象徴の国旗や国歌も大切にする。日本人がよくテレビなどで自国の国旗を粗末にしている姿を見ると胸が痛む。ましてや他国の国旗をも粗末にしている姿を見ると情けなくさえ思える。
確かに日本の国旗も国歌も天皇陛下を神格化する意味合いを持ってる。そのことは心情的に受け入れられない人がいるのも理解でる。
しかし、あの忌まわしい時代は過ぎ去った。その時代を象徴するものを廃止するのは、単にその時代を忘れてしまおうとしているだけの事で、反省の意味を含まないそれは、同じ過ちを繰り返してしまうだけだと思う。
それよりも世界で一番美しい「日の丸」という国旗と、やはり類を見ない美しい響きの歌「君が代」という国歌を持ち、世界史においてまさに文化的にも価値の高い、非常に由緒有る皇室を持ち、いつに端を発するのかわからない程の長い歴史を持ち、秩序あり、情緒豊かで、24もの季節を持つ美まし国”日本”。この美しい国に誇りを持つ事はなにも後ろめたい事でも恥ずかしい事でもないはずだ。
いかなる理由が有るにせよ、自分の生まれた国を愛せない事ほど悲しい事はない。
一部の右傾した思想家たちのいうそれとは違う本当の愛国心を大切にしよう。
皆さん、堂々と愛国心を持とう。