ひるねの時間

「守ろう自由なインターネット」99/02/14      飯島 かつあき

最近の大騒ぎにはちょっとうんざりだ。

インターネット殺人事件?
インターネットが人を殺すの?
きっと、パソコンの前に座るのも恐くてしょうがないような人が書いたんでしょうが、心配しないで下さい。インターネットは、人殺しどころか噛み付きさえもしませんから。

インターネットは、まだ新しい技術で、テレビほどは多くの人に親しまれてはいません。だから、ちょっと騒ぎたい気分は解ります。でも、ちょっと大騒ぎし過ぎですよ、まるでインターネット自身が悪いみたいに言うなんて、本当に悪いのは、人、人ですよ。それを悪用する人ですよ。
なのに、インターネットを規制して、実名記載の義務化や公然検閲の実施、悪質ホームページの密告制度、などをしようと真剣に考えている人たちまで居るみたいで・・・
人間の新しい物に対するアレルギーというのは昔から有ったようですが、今のインターネット悪玉思想は、まるで「写真を撮られると魂を吸い取られる。」なんて言うのと似ているような気がします。

ちょっと前迄は、インターネットは楽しいとか、便利とか、商売に使えるとか言っていたのに・・・
でも私はそれもすこし間違っているような気がします。インターネットの世界は、そんなにすばらしい物では有りません。国際的であるがゆえに、規制のかけにくい世界で、大人の世界の一番醜い部分をも含んでいる事を忘れてはいけません。

今、インターネットの良くない部分で大騒ぎしている人たちは、多分、この頃インターネットは夢の入り口ぐらいに思っていたのでしょう。

インターネットのように、世界中の不特定多数の人が情報を発信し、世界中の不特定多数の人が情報を受けるようなメディアはそれまで地球上に存在しませんでした。
その為これからいろいろと論議されていくべきメディアで、その分安全性にかけている事も事実です。 受ける側から言えば公共性の高いメディアのように感じられるのですが、発進する側から見れば私的通信のように感じられがちと言う特徴も持っています。
もともと、ホームページはBBSなどから発展してきた事を思えば、それもしょうがないのですが、その為つい発信者側は、その公共性を忘れがちです。

ただ、テレビや新聞とは、立場が違うということも事実だろうと思います。
テレビや新聞は不特定多数のそれを見る人やスポンサーなどに嫌われない様にする必要が有るわけで、その為、極端に偏った意見や危険な情報を出す事はなく常に安全です。
また、報道という側面だけ見れば、戦時中の反省なども有り、法律等によって事実関係だけを報道し意見や推測、思想などは示さないよう努力する事が義務づけられています。
しかし、ホームページはBBS(データベースなど)から発展した来た経緯が有ります。多くのホームページは特定の情報群に特化しています。ですがこれこそがビジネスなどに役立つ情報源と位置づけられている所以なのです。

情報はありとあらゆるものに詳しくなくてはいけません。
その為、有害な情報までも含む事が有ります。
殺人、戦争、自殺、毒物、暴力、その他ありとあらゆるものまで含んでしまいます。
しかし、だからといってインターネット全体を検閲してしまえば、その他の健全なデータベースの成長をも阻害しかねません。
あらゆる情報が有ってこそ、お互いにアクセス回数の増加を生みそれによって成長しているという側面が有るからです。
それにどんな情報でも、使う人次第で良くも悪くもなるはずです。
例えば、問題になっている自殺関係のホームページでも、自殺願望を持つ人が見ればその手助けになってしまうかも知れませんが、そうでない人が見れば、自分の周りに居る自殺願望を持つ人の気持ちが分かり、自殺を食い止めるのに役立つかも知れません。また、自殺を考えている人も、他人の悩みを知り、同じ様な事で悩んでいる人が居れば、辛いのは自分だけじゃない事を知り生きる勇気が出るかもしれません。
また、もっとドライな見方をすれば、心理学を勉強する人にとっては、有用な情報源だったりもするかもしれないじゃないですかぁ。
どんな情報も一概に有害とは言えないって事です。

自由であるがゆえに成長してきたメディアゆえに、もしも、これ自体が有用であると考えるならば、やはり自由にしておくべきだろうと思います。
一見有害に見える情報も、使い方を誤らないでいれば問題はないはずですし、それも巨大なデーターベースを構築する上において必要な冗長度の範囲だと思います。
必要悪とまでは言いませんが、
ようは「見る人次第。」です。

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