黄山、西湖(杭州) 水墨画紀行

 平成14年7月、”新潟教弘友の会”の海外研修旅行、中国黄山・千島湖・杭州6日間の旅に参加しました。圧倒的で幻想的、峻烈で深遠、正に仙境を思わす水墨画そのものの世界でした。
 ここでは、その水墨画紀行の内、黄山西湖(杭州)に焦点をしぼって紹介したいと思います。
旅行日; ’02.7.6〜7.11


黄  山

黄山は、中国・華中地方、安徽省の南部に聳える奇峰群で、1,860mの最高峰、蓮花峰
をはじめ、72峰を連ねる名山です。名は、上古の帝王・黄帝が仙薬を練って修行した
という伝説に由来し、唐代に黄山と命名されたと言います。その景勝は、
奇松怪石雲海温泉の「四絶」と称えられています。
1990年12月に世界文化及び自然遺産に登録されました。
30年かけて中国の山河を遊歴した明代の地理学者徐霞客は、
五岳に登ったら他の山など目に入らない。しかし、黄山に登ったら
その五岳すら目に入らない。
」と称えたと言います。カメラと腕が劣るため、
その迫力あるパノラマを十分お伝えできないのが残念であり、また申し訳なく思います。


《奇松、怪石絶景》

【始信峰からの景観】
 始信峰の標高は、1,668m。山麓の雲谷寺始信峰とを結ぶ全長2,808mの雲谷ロープウェイで約8分、白鵝嶺駅で下車。そこから徒歩で7kmほど、山道や石段をゆるやかに登ります。峨々として聳え立つ岩山、雲海に浮かぶ遥かな峰々、正に水墨山水画の世界です。
 始信峰は、黄山の中でも、最も詩情画意に富む景観が望めるところとして知られています。


【石 筍 峰】
 始信峰からの景観の一つ。
 左に上昇峰、右に石筍峰が聳え、奇峰、奇松の景観が実に素晴らしい。この景色を眺めながら、文人たちが酒を酌み交わしたところとして有名です。
【千丈の断崖】
 同じく始信峰からの景観の一つです。
 目もくらむような千丈の断崖に思わず息を呑みます。そんなところにも、見事な黄山松が凛として枝を伸ばしています。

     

【夢 筆 生 花】
 山中のホテル、「北海賓館」近くの展望台からの眺め。
 筆先の形をした岩(中央右)に1本の松が生えています。残念なことに松が枯れ、現在のものはプラスチック製の作りものとのこと。
【飛 来 石】
 高さ12mの奇石
 まるで空から飛んできたようにあることからこの名が付いたと言います。何とも不思議な造形です。折しも霧にかすんで、夢幻の世界を描いていました。

     


《雲海、雲煙絶景》

【清涼台からの景観】
 清涼台は、獅子峰の中腹にあり、標高1,690m。黄山の山々にかかる雲海日の出を望むところとして有名です。
 これは、清涼台からの早朝の眺望です。山塊の背景に峰々を浮かべて果てしなく広がる雲海、その壮大で深遠な景観は、正に一服の水墨山水画そのものでした。


【日 の 出】
 清涼台から望んだ日の出の一瞬です。
 数百人と思われる観光客が固唾を呑んで目を凝らします。7月とは言え、黄山の早朝は寒く、防寒具を着てのご来光待ち。日の出の瞬間、感動のどよめきが静寂を破ってこだましました。
【ご 来 光】
 ご来光が峰々の姿を映し出し、刻々と変化する様は正に神秘的。幻想的な深山幽谷の世界を見せていました。あたかも動画でも見ているかのようで、寒さも忘れ、いつまでも去りがたく大自然のパノラマに見入っていました。

     

【光 明 頂】
 光明頂からの眺めです。眼前には雲煙に見え隠れする高峰。
 光明頂は、黄山第二の高峰で、標高1,840mあります。ここも、日の出雲海の名所として知られています。1,995年に築かれた気象台があります。
【雲煙に浮かぶ】
 霧が立ちこめ何も見えなかった空間に、突如として屹立する岩山が浮かびます。はっと息を呑む間もなく、また雲煙に掻き消されていきます。動かぬ峰々が刻々と変貌し、様々な姿を見せてくれる神秘な世界です。

     



西 湖(杭州)

浙江省の省都、杭州市の西側に広がる、東西3.3km、南北2.8km、周囲15kmの湖。
春秋時代の絶世の美女、西施に喩えて名付けられたと言います。
朝夕、雨天晴天、春夏秋冬、いつ訪れても美しいと称えられています。
西湖の名所は、「西湖十景」に代表され、それぞれの景色に名が付けられています。

【白 堤】
 白居易が杭州刺史であったときに(822〜844年)修復した堤であることから、この名があるとのこと。長さは約1kmで、断橋から孤山まで続きます。柳と桃の木がきれいに並んでいます。
 霧にかすむ山は、高さ200mの宝石山。山頂には、高さ45mの保俶塔が見えます。


【断 橋 残 雪】
 白堤の北の端に架かる橋。雪が積もると橋の中央部から解け始め、橋が折れて白堤がここで断たれているように見えることからこの名があり、十景の一つです。
 中国民話『白蛇伝』の白素貞許仙は、この橋で巡り会っています。
【錦 帯 橋】
 白堤の西側に架かる橋。
 この先の西の端にある庭園が、十景の一つ、「平湖秋月」です。湖面と同じ高さで造られていることから平湖と言い、中秋の名月に、月が湖面に映る倒影が美しいことで有名です。

     

【蘇 堤】
 北宋の詩人、蘇東坡杭州の知事のころ、20万人の人々を動員して築いた堤。2.8kmあり、6つの橋が架かっていて、その一つ。
 霞がかった春の早朝にしだれ柳の枝でウグイスが鳴く情景が最も美しいと言うことから、「蘇堤春暁」の名があります。
【霧中に浮かぶ】
 霧の中、かすむ蘇堤に向かって湖面を行く小舟一艘。微かに揺らめく湖面に影を落として進みます。
 霧中、そこだけが浮かんで、印象深く水墨画の世界を醸していました。

     




ご一緒した皆さんと翡翠池にて(無断掲載お許しください)



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