初 秋 の 奥 鬼 怒 の 旅

 「鬼怒川の上流を遡ると、安らぎの秘湯がある。」 旅行案内誌の情報を手がかりに10月中旬、紅葉の奥鬼怒を目指す旅をしました。秘湯の旅というには些か不似合いの旅行仲間との賑やかな旅でしたが、紅葉が始まった初秋の景観を楽しむことができました。
 関越自動車道沼田ICから国道120号・「ロマンチック街道」を進んで戦場ケ原、そこから「山王林道」へと折れ、川俣温泉を経て「奥鬼怒温泉郷」へ。そこで1泊し、帰路は、県道23号・「青柳街道」から有料の「霧降高原道路」に入り、日光経由で国道122号を進んで前橋ICへ。およそ500kmほどの秋色迫るドライブ旅行でした。
旅行日; ’01.10.14〜15

                

見 る
【沼田ICから国道120号・ロマンチック街道へ】
〈吹割の滝〉
 名勝・吹割の滝は、高さ7m、幅30mの滝。片品川の清流が、岩盤の岩床を削って独特の景観を造り出したもので、まるで巨大な岩を吹き割るように水が流れ落ちることからこの名がついたとのこと。
 国の天然記念物に指定されています。
〈丸 沼〉
 白根山の噴火によって片品川がせき止められてできた沼。周囲約4.4km、水深31m。標高1,428mにあるので、真夏でも気温が25℃を超える日は少ないとか。
 白樺とブナの原生林に囲まれ、色づき始めた紅葉が湖面に映えて神秘的でした。

  
豪壮な吹割の滝                  紅葉が始まった丸沼


【金精道路から山王林道へ】
〈金精峠〉
 金精トンネルを抜けると視界がパッと広がり、そこは金精道路のビューポイントの一つでした。遥か眼下に湯ノ湖が望まれ、戦場ヶ原の向こうには、男体山の雄姿が浮かびます。
 黄葉が柔らかく広がる大パノラマでした。
〈光徳牧場〉
 明治30年(1897年)から続く、古い牧場。白樺やカラ松林に囲まれた約3万uの草原に、放牧された牛や馬がのんびり草を食んでいました。近くに、北欧ムードが漂う「日光アストリアホテル」があります。
 この光徳牧場から川俣温泉へと通じる山王林道(奥鬼怒林道)は、自然林の中を徐々に高度を上げながら走る高原ルートです。

  
湯ノ湖と男体山を望む              黄葉に日が差す光徳牧場


【川俣温泉を経て奥鬼怒温泉郷へ】
〈女夫渕(めおとぶち)温泉ホテル〉
 鬼怒川の上流を遡って進むと、一般車が行ける最終地点に、村営の女夫渕駐車場があります。そこが奥鬼怒温泉郷の入口であり、「女夫渕温泉ホテル」は、その駐車場のすぐ前に立つ、鉄筋5階建ての白亜の建物です。
 自慢は、渓流沿いに点在する、12種類の露天風呂とのこと。秋色に染まる自然に浸りながらの露天風呂三昧は、ゆったりと秘湯の趣を満喫することができました。
〈奥鬼怒へ〉
 写真に見える橋を渡って続く奥鬼怒林道は、ここから一般車は通行止めで、この先は、鬼怒川の渓谷沿いを遡る奥鬼怒自然研究路のハイキングコースとなります。その途中に、奥鬼怒4秘湯があり、更にその先は、大小の鬼怒沼が散在する、標高約2,000mの高原湿原へと続く登山道となるとのことです。
 今回のコースには入れませんでしたが、いずれ秘湯を宿泊拠点にして、奥鬼怒の秘境を散策するハイキングをしてみたいものです。

  
白亜の女夫渕温泉ホテル                鬼 怒 川 上 流


【奥鬼怒温泉郷から県道23号・青柳街道へ】
〈川俣湖〉
 鬼怒川川俣ダムでせき止めてできた人造湖。湖底には、平家落人集落といわれた旧川俣本村が沈んでいるとか。湖畔を巡る散歩道も整備されているとのことです。
〈瀬戸合峡〉
 川俣ダム付近から鬼怒川を挟むように約2qに渡って続く峡谷。深さ数100mにも及ぶ断崖絶壁には、奇岩がそそり立ち、そこに木々がへばりつくように伸びています。
 ダム付近の絶壁に立つ「瀬戸合見晴休憩舎」(水曜定休)は、川俣湖瀬戸合峡の雄大な景観を堪能できる絶好のビューポイントでした。

 
  
色づき始めた川俣湖              断崖絶壁が続く瀬戸合峡


【青柳街道から霧降高原道路へ】
〈大笹牧場〉
 霧降高原に広がる、東京ドームの278倍はあるという大牧場。標高約1,000〜3,000mの高地にあり、約600頭の牛が放牧されているとか。
 牧場内には、レストハウスやレジャー施設も整っています。牛乳(100円)もそうでしたが、搾りたての牛乳からできるソフトクリーム(300円)は、実に美味しかったです。
〈霧降滝〉
 霧降高原有料道路の出口付近にあって、華厳滝裏見滝と並ぶ日光三名瀑の一つ。上下二段に分かれている滝が、岩にぶつかり砕け散った水が霧のように降り注ぐところから、この名がついたといいます。
 展望台からも望まれますが、徒歩10分ほどのところにある観瀑台からの眺めは絶景でした。

  
高原に広がる大笹牧場               三名瀑の一つ霧降滝


泊まる
【女夫渕温泉ホテル】
 自家用車で行ける最終地点であり、奥鬼怒温泉郷の入口でもある女夫渕温泉のただ一軒のホテル。
 渓流沿いの広い庭園には、七福神の湯をはじめ、人魚の湯などの12種類の露天風呂があり、旅の興趣をそそります。食事は、豊かな山の幸と川の幸が中心の和食膳でした。
【奥鬼怒四秘湯】
 奥鬼怒温泉郷には、この女夫渕温泉を入口に、奥鬼怒自然研究路に沿って、八丁の湯加仁湯日光沢温泉手白沢温泉の四秘湯が点在しています。それぞれに一軒宿があります。
 八丁の湯加仁湯は、事前に連絡しておけば、女夫渕駐車場まで送迎車を出してくれるそうです。

道路及び案内メモ
【道路メモ】
沼田ICから吹割の滝までは約15q、丸沼までは更に約25qです。
光徳牧場から山王林道(奥鬼怒林道)を走り、約21q程で川俣温泉へ。女夫渕温泉はそこから約4qです。
青柳街道(県道23号)女夫渕温泉から川俣川治温泉へと続きますが、途中の栗山村役場付近から県道169号へと右折します。瀬戸合見晴休憩舎辺りから道幅が狭くなり、崖にへばりつくように急カーブがしばらく続きます。
霧降高原道路は、霧降高原を貫くように走る、全長約17qの有料道路(片道930円)。途中の六法沢橋は、雄大な渓谷美を眺望できるビューポイントです。
【案内メモ】
この旅のコースは、女夫渕温泉から日光市街まで約55q程ですから、朝出発すれば日光山内観光も十分できます。東照宮二荒山神社輪王寺の二社一寺(共通拝観料1,000円)を散策し、改めて日本の伝統美を堪能してきました。
女夫渕温泉から八丁の湯まで1時間10分、加仁湯までは更に10分、日光沢温泉までは更に15分のハイキングコース。その先が登山道となり、オロオソロシノ展望台まで40分、展望台から1時間30分で鬼怒沼に至るトレッキングコース。いずれ試みたいと願っている奥鬼怒秘境の旅です。

次へ】【トップページへ戻る